抄録
卵黄嚢由来のAFP(卵黄嚢型AFP)と肝細胞由来のAFP(肝型AFP)との間にはconcanavalin A (Con A)などのレクチンに対する親和性に差がある. 通常の組織切片上でこの型判別を行うことを目的として卵黄嚢腫瘍とAFP産生性肝細胞癌各10例を連続切片とし, 通常のPAP法によるAFP染色と糖蛋白を染めるP-Con A法を行いAFP局在部へのCon Aの吸着性の有無を観察した. その結果, 卵黄嚢腫瘍全例でCon Aの吸着がないか, きわめて弱かったのに対し, 肝細胞癌全例でAFP局在部がCon Aをよく吸着した. 同様の染色結果は対照として使用した人卵黄嚢(内胚葉細胞)と人胎児肝との間でも認められた.
以上, 両染色法の対比によりAFPの型判別が組織学的に可能で種々の臓器に発生するAFP産生腫瘍に応用できるとおもわれる.