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腎動脈バルーン閉塞による逆行性腎静脈造影の造影効果と血圧への影響
小林 久隆伊藤 剛藤田 裕子村田 るみ田辺 正也
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1991 年 45 巻 1 号 p. 72-74

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抄録
我々は, 特に高血圧をもつ症例を中心として, 腎動脈を造影の直前にバルーンカテーテルで不完全閉塞させることによって, 末梢血管収縮剤を使用することなく逆行性腎静脈造影の描出能を上げる試みを行っている. この方法を用いて高血圧をもつ患者7例に対して9回, 対照として高血圧をもたない患者3例に対して4回, 延べ10例に対して13回の造影を行った. その結果この方法は. 末梢血管収縮剤を使用しないため血圧に対する影響もほとんどなく, 従来の薬理学的血管造影やIADSAでは, 70%~80%しか描出できなかった葉間静脈より末梢の分枝を, これまでの我々の経験では100%描出することが可能であった. この方法は, 腎内静脈への腫瘍の浸潤の程度や静脈系の血流異常を描出するためには, 高血圧をおもつ患者はもとより高血圧をもたない患者に対しても, その末梢分枝の描出能と合併症の少なさ故に用いられ得る方法であるとおもわれる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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