医療
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川崎病における冠動脈病変の検討
中本 一海波多野 淑弘椋 旨正古見 健一原 朋邦
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1991 年 45 巻 11 号 p. 1016-1020

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抄録
川崎病は小児心疾患の中で重要な疾患となっており, 突然死の原因ともなっている. 冠動脈病変の正確な診断と治療のためには心エコー法に加え, 選択的冠動脈造影法が必須である. 我々は川崎病既往の患者56例に冠動脈造影を行った. 5Fの当院で作製したカテーテルを用い, 全例安全に施行し得た. そのうち23%に冠動脈病変があり, 主として拡張病変(冠動脈瘤)であった. 同一症例で拡張, 狭窄病変, 心外血管病変など多彩な所見のある症例もみられた. 冠動脈瘤は年少児, 病早期ほど自然褪縮しやすく, 年長になるほど瘤が残存し, 石灰化や血栓形成がみられた. 冠動脈瘤の好発部位は動脈硬化性虚血性心疾患の病変好発部位と一致している. 川崎病既往の患者が成人した場合の虚血性心疾患発症の可能性など, 内科領域としても今後積極的に追跡する必要がある.
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© 一般社団法人国立医療学会
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