医療
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ザンビア共和国における小児医療の経験
―当院小児科と比較して―
野村 豊樹水谷 健一多喜 紀雄岡崎 通
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1991 年 45 巻 12 号 p. 1170-1174

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抄録
ザンビア大学教育病院(University Teaching Hospital: 以下UTH)の小児医療と国立津病院(以下津病)小児科医療の現況を比較検討した. 1987年次のUTH入院患児(15歳未満)数は17,606名, 1989~90年次の津病小児科入院患児数は902名であった. その内5歳未満児が占める比率はUTHが86.1%, 津病が67.1%でUTHは有意に(P<0.01)5歳未満児率が高かった. また疾患分類はUTHが感染症63.2%, 非感染症13.3%, 事故15.8%, 栄養失調17.5%に対し, 津病が感染症63.2%, 非感染症32.9%, 事故3.9%であった. UTHの死亡退院数は2,954名(死亡率16.8%)その三大死因は栄養失調(1,163名: 39.4%), 下痢症(473名: 16.0%), 下気道炎(406名: 13.7%), 一方, 津病の死亡率は0.3%であった. 発展途上国の医療の現状は日本の現状とは大きく異なっており, 途上国の保健・衛生状態の改善には公衆衛生, 学校教育, 食物生産ならびに産業育成など広範囲の協力が必要と考える.
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© 一般社団法人国立医療学会
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