抄録
外来通院での癌化学療法施行に伴う問題を明らかにする目的で, アンケート調査を行った. 国立がんセンター外来通院治療センターで非経口的抗癌剤投与をうけている患者117名に調査用紙を配布し, 80名(68.4%)から郵送で回答をえた. 長時間かけて遠方から通院している患者が少なくないが, 入院よりも外来治療の方がよいというものが多かった. 通院治療での最も大きな問題は, 在宅時に緊急事態が起こったときの対策である. 在宅医療を充実させるにはこの問題の解決が急務であると考えられた. 調査対象になった患者と主治医との関係は比較的良好であり, 患者の多くは自分の病名を知っていた. 外来にて副作用の多い治療を継続させるためには患者と医療者との意思の疎通が重要である. そのためには, 病名や治療法を含めた説明が大切であり, 病名を知っている患者の精神的ケアも今後の大きな課題となろう.