医療
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術前に診断し完全に切除し得た一部に癌化巣を伴う胃過形成性ポリープの1例
―本院104例のポリペクトミー症例の検討―
小林 久隆梶谷 幸夫前川 高天伊藤 剛直木 正雄佐竹 弘村田 るみ金岡 正樹田辺 正也粉川 皓仲三宅 健夫
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1991 年 45 巻 8 号 p. 779-784

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抄録
胃の過形成性ポリープ(以下HP)は, 胃に生じるポリープの中では最も多いものであるが癌巣を合併することは非常に少ない. そのため, 臨床上その治療について, すべてポリペクトミーを行うべきか, 経過観察に留めるべきか意見の分かれるところである. 今回, 生検組織よりHPとポリープ内癌であろうと診断し, ポリペクトミー(以下PT)によって完全に切除し得た一部癌巣を有するHPを経験した. 当院においてPTを行われた96症例104病変に対する検討では, HPの癌巣を伴う確率は, HP全体の中ではこれまで報告されているものより低く1%以下であると推測された. 以上よりHPは大きいもの, 合併症を伴うものは切除の対象となるが, 小さいものは必ずしも切除の対象とはなり得ないとおもわれる. また, 内視鏡像と生検による正確な診断は, 治療方針を確定するためにも, PTの方法を工夫し治癒切除を行うためにも必要なものであると考えられた.
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