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免疫グロブリン結合性マクロCK血症を伴った多発性筋炎の1例
国重 英治伴野 佳代中平 誠一郎田原 留之助三木 茂裕
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1991 年 45 巻 9 号 p. 892-897

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抄録

症例は44歳女性, 発熱, 脱力感を主訴にて入院. 近位筋優位の筋力低下を認めた. 血液生化学検査にてCK, ALP, GOT, GPT, LDHなどの筋原性酵素の異常高値を認め, さらに筋電図, 筋生検所見より定型的多発性筋炎と診断した. 血清CK異常高値は, 電気泳動法, Sephadex-200を担体とした薄層ゲル濾過法と酵素免疫固定法により, MB分画とMM画の中間に認められた, IgAκ及びλと結合し高分子化した免疫グロブリン結合性マクロCKによるものと確認した. マクロCKは悪性疾患や遣伝性筋疾患などで報告され, なんらかの免疫異常が存在する可能性が示唆されている.
今回, 我々の経験した症例は, 多発性筋炎の病勢改善とともにマクロCK値が低下した. すなわちマクロCKが筋炎の活動性を反映している可能性が強く, 病因との間連性が示唆されたが確認はできなかった.
今後, 多発性筋炎の病因解明の一つの手段として, 同様の症例の蓄積が待たれる.

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© 一般社団法人国立医療学会
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