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急速に進行する心不全を呈した福山型先天性筋ジストロフィー症の1剖検例
吉川 秀人平山 義人黒川 徹宝道 定孝
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1991 年 45 巻 9 号 p. 898-902

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抄録

急速に進行する心不全を呈し死亡した福山型先天性筋ジストロフィー症の剖検例を報告した. 患児は生後より低緊張, 顔面筋罹患, 多発性関節拘縮, 精神運動発達遅滞を認め8ヵ月時, 筋生検施行され福山型先天性筋ジストロフィー症と診断された. 15歳4ヵ月より呼吸困難, 乏尿, 浮腫などの心不全症状が出現し検査で著明な心拡大および駆出率低下が認められた. 5カ月後, 肺炎が誘因となり心不全のため死亡した. 剖検の結果, 著明な心肥大, 心筋変性および線維化が認められ右室に著明であった. 福山型における心不全死の報告例で, このように急速に進行し死亡した例はない. 本疾患において心不全死は無視できず, またその症状にも多様性があることが示唆された.

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