医療
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膵癌剖検自験症例の治療法別検討
若杉 英之瀬尾 洋介林 逸郎勝田 彌三郎秦 一雄
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キーワード: 膵癌, 剖検, 治療
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1992 年 46 巻 1 号 p. 20-23

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抄録

最近17年間に経験した膵管癌74症例の剖検所見につき治療法別に検討した. 放射線療法を中心とする集学的治療により生存期間の延長・家庭への復帰が可能となったが, 長期生存例は診断時H0であった. 次に, 放射線療法により膵の変性が著明に起こり, 腹腔内リンパ節転移は減少していたが, 膵周囲臓器・肺への浸潤・リンパ節転移はむしろ多くみられ, 腫瘍辺縁部にviableとみられる癌細胞が残存していた. また直接死因として放射線照射性合併症, 特に消化管病変の関与が示唆される症例が認められた. 従って, 膵癌治療の今後の課題として, (1) 肝転移の防止と治療, (2) 残存膵癌細胞に対する治療の徹底, (3) 放射線障害の対策が挙げられる.

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© 一般社団法人国立医療学会
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