医療
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46 巻, 1 号
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  • 近藤 忠亮
    1992 年46 巻1 号 p. 3-8
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胆汁色素, 主としてビリルビンについて臨床上興味のある2・3の課題について述べた.
    1) ビリルビンの構造異性体としてビリルビンIXα, IIIα, XIIIαと立体異性体としてZZ型ビリルビンからEE型ビリルビンへの光または熱による変換が知られている. 後者は光療法の機序解明に投立っている.
    2) δビリルビンはビリルビンがアルブミンと強固に結合した直接ビリルビンで, 半減期はアルブミンと同じである. 黄疸の発病時には直接ビリルビン分画中の占有率は低いが回複期には高くなる.
    3) ビリルビンの酸化反応は活性酸素の補足ないし消去反応であり生理的に意義がある.
    4) 二核胆汁色素に関した疾患としてHeinz小体陽性の先天性溶血性貧血とbronze baby syndromeについて述べた.
  • 第3報 リンパ球サブセットおよび心房Na利尿ホルモンについて
    諸冨 康行, 比嘉 利信, 田中 雅之
    1992 年46 巻1 号 p. 9-14
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    準呼吸不全の患者について, 免疫能としてTリンパ球サブセットを, 右心負荷として心房Na利尿ホルモン(ANP)を検討した.
    リンパ球サブセットについてはモノクロナール抗体とflow cytometory法を用いた.
    準呼吸不全患者では, OKT4, OKT4/OKT8比が正常者より有意に低値であった(p<0.05). PaO2とOKT4又はOKT4/OKT8比の間に有意め正の相関があった(r=0.57 or r=0.60).
    ANPはこれら6患者では有意に増加していた(p<0.05). 血漿レニン活性, 血漿アルドステロン濃度とは関係はなかった. PaO2とANPとの間には負の相関があった(r=-0.51).
    免疫能の不均衡とANPの増加には動脈低酸素血症と右心負荷が関与しているかもしれないことが想定される.
  • 五福 淳二, 高塚 雄一, 小早 川清, 河原 勉, 山本 信夫, 林 輝子, 佐野 好文, 有馬 良一, 倉田 明彦
    1992 年46 巻1 号 p. 15-19
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当施設において穿刺吸引細胞診(aspiration biopsy cytology: ABC)が施行された乳腺疾患のうち, 1985年1月から1986年12月まで(前期)の76例と, 1987年から1989年まで(後期)の339例を比較検討し, 以下の知見を得た.
    1) 正診率は72.4%から77.9%に上昇していた.
    2) 特に腫瘤径の小さい乳癌に対する診断成績が向上しており, 後期では腫瘤径に左右されないものになっていた.
    3) false negative rateは20.5%から14.3%に. false positive rateは6.3%から4.3%にそれぞれ低下していた.
    以上のことより, ABCは乳腺腫瘤, 特に小腫瘤に対する有用な検査法と考えられるが, その診断限界より, あくまで補助診断法の1つとして理解すべきである.
  • 若杉 英之, 瀬尾 洋介, 林 逸郎, 勝田 彌三郎, 秦 一雄
    1992 年46 巻1 号 p. 20-23
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近17年間に経験した膵管癌74症例の剖検所見につき治療法別に検討した. 放射線療法を中心とする集学的治療により生存期間の延長・家庭への復帰が可能となったが, 長期生存例は診断時H0であった. 次に, 放射線療法により膵の変性が著明に起こり, 腹腔内リンパ節転移は減少していたが, 膵周囲臓器・肺への浸潤・リンパ節転移はむしろ多くみられ, 腫瘍辺縁部にviableとみられる癌細胞が残存していた. また直接死因として放射線照射性合併症, 特に消化管病変の関与が示唆される症例が認められた. 従って, 膵癌治療の今後の課題として, (1) 肝転移の防止と治療, (2) 残存膵癌細胞に対する治療の徹底, (3) 放射線障害の対策が挙げられる.
  • 竹崎 英一, 村上 信三, 香川 和徳, 大森 仁也
    1992 年46 巻1 号 p. 24-28
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    色々の重症度を有する肝疾患患者で線維化のマーカーである血清P III P, 基底膜代謝のマーカーである血清IVコラーゲン7S, ラミニンP1を測定した. これら3マーカーの間には有意な相関関係が認められ, いずれのマーカーも肝疾患が進行するにしたがって高値となる傾向を示し, 肝線維化と密接に関連していることが確認されたが, それぞれの血清マーカーは臨床的に異なる意味を有することが示唆された. 血清P III Pは血清GOT, GPTと有意な相関関係を示し, 又, 急性肝炎でも高値を示すことで, 肝疾患の炎症活動性とともに線維化過程の活動性を反映し, 血清IVコラーゲン7S, ラミニンP1は血清アルブミン, KnodellらのHAI scoreのfibrosisと有意な相関関係を示し, 確立した線維化を反映していることが示唆された.
  • 松浦 隆志, 今村 圭介, 馬場 秀夫, 田村 重彰, 原口 勝, 古田 斗志也, 飯田 三郎, 室 豊吉, 原 修身, 平田 秀紀
    1992 年46 巻1 号 p. 29-33
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胆道癌の予後はきわめて悪く, 放射線感受性も低いため, 従来, 放射線治療の適応とはならなかった. 近年, 外部照射, 術中照射, 小線源治療などが化学療法や手術との併用の中で行われるようになり, その有効性の報告も増えてきている.
    今回, 我々は当院にてLinac 10MV 45~50Gyの放射線治療単独あるいは一部, 局所化学療法を併用した10例について検討した. その結果, 10例中9例に臨床症状の改善および画像診断上の腫瘍縮小効果がみられた. 平均生存月数6.2ヵ月で最長生存月数14ヵ月であった. また, 体外照射50GyにPTCD tube内からの局所化学療法併用3例ではいずれも良好な減黄および治療効果を認めた. 手術不能進行胆道癌に対する外照射放射線治療は, 全身状態改善目的での治療適応と考えられ, 局所化学療法などとの併用によりさらにその治療効果が期待できるものと考えられた.
  • 三谷 比呂志, 斉藤 賢一, 小須 田茂, 本田 実, 尾花 宏一
    1992 年46 巻1 号 p. 34-38
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Stage B, Cの未治療前立腺癌に対し, 60C. 密封小線源を用いた遠隔操作アフターローディング方式により, 経尿道的放射線療法を施行した. 対象は, 1985年以降国立大蔵病院を受診した未治療前立腺癌患者のうちの16例で, stage Bが14例, stage Cが2例であった. 方法は, まず体外照射をLinac X線にて前立腺部に40 Gray行い, 次に経尿道的放射線療法を1回4.5 Gray週2回で総線量27 Gray施行した. 治療終了後3ヵ月目に前立腺腫瘍巣の針生検または経尿道的切除(TUR)を行い治療効果の判定をした. 結果は, 変性した腺癌を認めたものが4例で, 他の12例は悪性細胞を認めなかった. また, 副作用として重篤な放射線障害も認められず, 本法はstage B, Cの前立腺癌に対して有用な治療法と思われた.
  • 高里 良男, 斉藤 淳, 太田 禎久, 新井 俊成, 宍戸 恒郎, 山田 和昭
    1992 年46 巻1 号 p. 39-44
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脳腫瘍の腫瘍性出血(腫瘍内出血, クモ膜下出血, 硬膜下出血, 脳内出血)のうち, 神経鞘腫の占める割合はかなり少ないとされている. 今回46歳, 女性で入院経過中に突然の片側頭痛と三叉神経症状の増悪を呈した聴神経鞘腫症例を経験したので報告する. 急性増悪後のX線CTでは腫瘍内に血腫の高吸収域が認められ, MRIではこれがさらに鮮明に腫瘍内出血として描出された. 組織像はAntoni AとBの混合型で壁の薄い拡張血管が多数認められた.
    聴神経腫瘍の腫瘍性出血で詳細が記載されている報告は本例を入れて19例で, その共通事項としては腫瘍が2~3cm以上と大きく, 既往症状として難聴や小脳失調がほぼ全例に認められることであった. 腫瘍性出血のうちクモ膜下出血(12例), 脳内出血(3例), 硬膜下出血(1例)は腫瘍内出血(19例)の漏出と考えられた. その予後は, 特にX線CTの導入以降は良好といえた.
  • 松森 邦昭, 三井 公彦, 田中 千彦, 阪本 いづみ
    1992 年46 巻1 号 p. 45-48
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    癌末期の難治性疼痛に対し, 経皮的コルドトミーによる除痛を行った. 癌性疼痛を有する16例に22回施行した. 施行直後, 鎮痛剤を全く必要としない症例は16例中7例(44%), 鎮痛剤を常時は必要としない症例は5例(31%)で, 合わせて75%の良好な除痛がえられた. 無効例は無かつた. 合併症として不全片麻痺2例, 排尿困難2例を認めたがいずれも一過性で回復した. 他に施行1~2ヵ月後に2例でdysesthetic syndromeの発生をみた.
    難治性の癌末期疼痛に対し経皮的コルドトミーは確実な除痛効果を示した. 手技が簡単で癌末期のhigh risk患者であっても高齢者でも安全に行いえた.
  • 池田 正仁, 石井 祥裕, 恵良 昭一, 家永 睿
    1992 年46 巻1 号 p. 49-53
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胃の多発性過形成性ポリープの内視鏡による経過観察中にポリープの一部に癌化を認めた1例を経験したので, 組織発生を中心に文献的考察を加え報告した.
    患者は54歳男性で多発性過形成性ポリープを伴う早期胃癌の診断下に胃全摘術が施行された. 胃の摘出標本では計14個のポリープが認められた. 前庭部のポリープ(径7mm, 山田3型)は病理組織学的には頭部が高分化型腺癌で根部は過形成性ポリープの所見を呈した. 他のポリープはすべて過形成性ポリープの組織像であった. 長与の規準に倣い過形成性ポリープの癌化例と判定した.
    異形成巣の関与の有無など過形成性ポリープの癌化の実態解明のためには過形成性ポリープと胃腺型腺腫の病理学的境界の統一や過形成性ポリープのみでなく腺腫の癌化率の検討および微小癌という時間的要素所見の検出のため胃ポリープに対する積極的な内視鏡的ポリペクトミーの施行が望まれる.
  • 永野 純, 安田 大助, 石川 裕章, 馬場 崇, 横田 昌樹, 山田 幸生, 井口 東郎, 船越 顕博, 若杉 英之
    1992 年46 巻1 号 p. 54-57
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    輸入脚症候群と慢性膵炎の2つの病態とその相互関係に関して示唆に富む症例を経験した. 患者は51歳, 男性. 慢性アルコール性膵炎の経過中に出血性胃潰瘍を来して胃全摘術を受け, 以後断酒したにもかかわらず膵炎症状が消失しなかった. 絶食, 抗膵酵素剤投与にて血清膵酵素値は低下したが腹痛・腰背部痛は改善せず, 一方輸入脚症候群や逆行性胆管炎と考えられる症候が間歇的に出現した. そこで消化管運動機能調律剤であるマレイン酸トリメブチンを投与したところ, これらの症候がすべて消失した. 以上の治療経過より次のように結論したい. (1) 胃切除後の輸入脚症候群には, 機械的な通過障害に加えて腸管の運動異常が種々の程度に関与しているが, その関与が大きい場合は消化管運動機能調律剤が奏功する可能性がある. (2) 難治性の慢性膵炎患者において胃切除術の既往がある場合, 輸入脚内圧の上昇による膵液や胆汁の逆流の存在を, 難治性の原因の一つとして考慮すべきである.
  • 1. 内視鏡の意義と展望
    小黒 八七郎
    1992 年46 巻1 号 p. 58-60
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1992 年46 巻1 号 p. 61-62
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1992 年46 巻1 号 p. 62
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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