一次性糖尿病に慢性膵炎を併発した1症例とその同胞例(一次性糖尿病のみ)について膵内外分泌能を中心に調査し, 膵性糖尿病の病態と診断につき考察した. 前者には膵石がみられ, 膵外分泌能は著明に低下しており, 血清脂溶性ビタミン値も低下していた. また, 後者に比し血糖・HbA1の高値は軽度であったが内因性インスリン分泌には著明な低下がみられ, アルギニン負荷試験時の血中IRG(膵グルカゴン)も日時の経過にともない漸次低値を示した. 初め一次性糖尿病があって後に膵性糖尿病が併発した症例であるが, 現時点では膵性糖尿病が病態の中心をなしており, 膵性糖尿病の診断のもとに診療するのが妥当と考えられる. この際における膵グルカゴンの測定は有用性が高い.