抄録
腎移植希望透析患者群200名のPCR-SSO法によるHLA-DR, DQ抗原のDNAタイピングの結果, 対照群235名に比較してDR2抗原頻度が少なく, DR4抗原が多くなっていた. DR2のうちDRB 1*1501が有意に少なく, DR 4ではDRB 1*0405が有意に高くなっていた. DRB遺伝子とDQA 1, DQB 1遺伝子のハプロタイプ分析では44型が検出され, DR-DQ抗原の強い連鎖不平衡が認められたが, 透析患者群に特有な型は検出されなかった. 血清学的にDRタイピングを施行している現状ではドナーとレシピエントのDRB 1遺伝子レベル(HLA-D)がどのくらい適合するかを, 遺伝子レベル頻度をもと, に計算すると, 日本人ではDタイプの多型性のないDR 1, DR 7, DR 9, DR 10, DR 11は100%適合が期待できるが, DR 2 (DRB1*1501, 1502, 1602それぞれの和)では51%, DR 4では41%, DR 8では51%, DR 12では48%, DR 13では90%, そしてDR 14では22%であった.