医療
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MRSA感染症発生状況の検討
―抗生物質使用量との関連を中心に―
小川 達次鳥海 良明高橋 喜久子佐藤 信悦浅黄 司
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1992 年 46 巻 12 号 p. 958-962

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抄録
1990年1月~1991年12月を6ヵ月毎にI~IV期に分割し, 抗生物質使用状況と院内MRSA感染症発生数の推移を検討した. 抗生物質はペニシリン系, セフェム系第1・2世代, 第3世代, 第4世代, 他のβ-ラクタム剤, アミノ配糖体, その他の抗生剤に分類した. 総使用量は1期と比較して, II期67%,III期68%, IV期59%と減少し, これと並行してMRSA感染症新患数もI期38例, II期20例, III期21例, IV期13例と減少した. 特に第3世代の減少は著しく, IV期ではI期の20%まで低下した. 第4世代もII期には大くきく落ち込んだが, III・IV期には増加に転じた. 一方, 「その他」の抗生剤は各期を通じて使用量は一定しており, 抗生物質全体に占める割合はI期22%からIV期には35%へと上昇した. III・IV期のMRSA感染症34例中, 11例が院外からの持ち込みと推測された. 患者転院に伴う医療施設間での情報交換がMRSA院内感染予防の今後の重要な課題と思われた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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