医療
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胸部外傷142例の臨床的検討
山口 博一郎馬場 尚道草場 英介松尾 和彦永尾 修二岩松 みよ子中田 俊則松岡 陽治郎森川 実
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1992 年 46 巻 4 号 p. 246-251

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抄録
過去8年間の胸部外傷142例について検討した. 年齢は3歳から81(平均41.6歳)で, 男性が106例, 女性が36例(男女比2.9:1)であった. 鈍的外傷は136例, 鋭的外傷は7例(1例は重複)であり, 胸部単独外傷は75例(52.8%), 胸部以外を含む多発外傷は67例(47.2%)であった. 大部分の症例を保存的に治療し, フレイルチェスト6例を含む27例に人工呼吸管理を行った. 手術例は6例(4.2%)であった. 気道出血のコントロールが困難であった肺挫傷の1例に気管支動脈塞栓術を施行し, 良好な止血効果を得た. 死亡例は19例(13.4%)で, うち16例は在院期間16.4±4.7時間(M±SD)の早期死亡であった. 死亡例中胸部外傷が直接死因と考えられたのは5例(3.5%)であった. 胸部外傷が関連した死亡率(13.4%)は, 同時期の全外傷死亡率(5.7%)に比し高率であり, 今後一層迅速な診断, 処置により救命率の向上に努める必要がある.
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© 一般社団法人国立医療学会
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