1992 年 46 巻 8 号 p. 634-638
胸膜炎, 肺の浸潤影, 皮下腫瘤, 心膜炎など多彩な症状を呈した宮崎肺吸虫症の一例を経験した. 症例は26歳の女性で咳漱, 発熱, 左胸部痛を主訴に入院した. 経過中皮下腫瘤が出現し血清学的に宮崎肺吸虫症と診断されプラジカンテル投与により自, 他覚所見とも改善したが, 4日目に心嚢液貯留をみとめた. 肺吸虫症の心膜炎と考えられるが諸家の報告では頻度は約2%でさらには皮下腫瘤, 胸膜炎, 肺内病変との合併は稀であった. また肺吸虫症の皮下寄生9例について検討した.