抄録
治らい薬長期投与中で, 過去4年間にわたり塗抹で菌指数0の鎮静期にあるL型らいの患者(60歳, 男性)に発生したノルウェー疥癬を報告した. これを発端として患者が入院した国立療養所恵楓園医療センター内の患者, 職員間に疥癬が蔓延したが, 疥癬を発症したらい患者群と非発症患者群との間に, らいの病型, 菌指数, 治らい薬, 合併疾患などに差はなく, らい患者が疥癬に対し易感染性を示す傾向はないと考えられた. ノルウェー疥癬へ進展した原因は, 診断の遅れと, コルチコステロイド剤が長期にわたり外用および内服きれたことによる免疫低下に起因するものと考えられた.