医療
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47 巻, 1 号
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  • 横山 健郎
    1993 年 47 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    わが国の腎移植は1969年に死体腎移植が初めて成功して以来, 腎不全医療の根治療法としてその役割を果たしてきた. これまで5737回の生体腎移植と2002回の死体腎移植が行われ, 5, 10, 15年生着率/生存率は生体腎移植で64.8/84.5%, 50.4/77.1%, 40.0/71.6%であり, 死体腎移植ではそれぞれ45.5/76.7%, 33.5/69.8%, 18.6/62.0%, となっている. シクロスポリンの導入後はさらに成績の向上が顕著である. 腎移植には臓器の公平な配分および臓器提供を促す移植ネットワークが重要であり, また救命救急センターの協力が欠かせない.
    救命救急センターを対象にした調査から全脳死患者に, または腎臓提供の可能性の高いものに限って腎臓提供の説明を行えば, 腎臓移植の例数の2~4倍の増加が見込まれる.
  • ―97手術例の分析より―
    片岡 治
    1993 年 47 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    環軸関節脱臼(AAD)には, 経歯突起性脱臼(TDD)と経靱帯性脱臼(TLD)との2脱臼型式がある. 前者は歯突起の異常によるものであり, 後者は環軸椎靱帯機構の異常に起因するものである. 本論文では自験の97手術症例の分析に基づき, AADをその発生原因別に分類し, その原因と病態につき論じた.
    先天性脱臼(31例)はTDDとTLDに分けられ, 前者には歯突起骨(19例), 後者には環椎頭蓋癒合(4例)と環軸関節靱帯異常(8例)が含まれる. 外傷性脱臼(12例)もTDDとTLDに分けられ, 前者には歯突起骨折(3例)と歯突起偽関節(5例)があり, 後者には環椎十字靱帯断裂(4例)があった. 炎症性脱臼(40例)は全例がリウマチ性亜脱臼であり, 前方亜脱臼(29例), 後方亜脱臼(1例)および垂直亜脱臼(10例)に分けられた. 腫瘍性脱臼(3例)は全例が悪性腫瘍起因であった. その他, 種々の疾患や病態に続発または合併した脱臼(11例)が分類された.
  • 日高 啓, 山田 義生, 平田 秀紀
    1993 年 47 巻 1 号 p. 16-19
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    37例の急性虫垂炎疑診例に対し, 7.5MHz高周波探触子を用いて診断を試みた. sensitivity 71%, specificity 95%, accuracy 84%という結果が得られたが, カタル性虫垂炎や穿孔をきたしていた例では腫大虫垂像の描出はやや不良であった. 超音波検査は非侵襲性であり, 急性虫垂炎の診断に有用と思われた.
  • 安井 誠, 河渡 幸宏, 中井 敏夫, 近澤 茂夫, 佐野 譲, 杉岡 五郎
    1993 年 47 巻 1 号 p. 20-23
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ハロペリドール(HPD)の血清中濃度測定には, 高速液体クロマトグラフィーによる紫外吸収検出器が一般に用いられている. しかし微量濃度測定では感度が不十分であると考えられている. 今回われわれは測定範囲が広く感度のよい電気化学的検出器を用いHPDの微量定量法を検討した. ESA社製クーロケムモデル5100Aを用い, 内部標準物質はブロムペリドールとした. 検量線はHPDの濃度3~30ng/mlの範囲内でほとんど原点をとおる直線関係が認められた. 添加回収率はHPDの濃度(3, 15, 30ng/ml)で95.2~117.6%の範囲であった. また再現性はHPDの濃度(3.15ng/ml)ではC.V.%がそれぞれ6.3, 4.6であり良好であった.
  • ―MRSA検出状況―(第1報)
    Nobuko IKEGAMI
    1993 年 47 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    全国の国立病院, 療養所, 計250施設を対象にMRSA検出検査の実施状況, 入院, 外来別に受診患者のMRSA検出状況, MRSA検出入院患者の収容状況, 退院状況などについてアンケート調査を行い, 182施設(73%)より返送された回答の集計分析から次のような現状が明らかになった. MRSA検出検査は150施設は院内で, 11施設は外部依託検査で実施されていたが, 検査のやり方が必ずしも正確でない施設のあることが分かった. MRSA検出率(黄色ブドウ球菌検出症例数に対するMRSA検出症例数の百分比)が病院全体として, 正確に年間(12ヵ月)集計されている施設は国立病院(国病)群で36施設, 療養所群では16施設と少なく, 院内の感染情報のシステム化は不十分であった. 国病36施設の平成2年度の入院患者のMRSA検出率は6~81%(31施設は60%以下), 外来患者のMRSA検出率は0~61%(22施設は10%以下)で入院患者のMRSA検出率が高値であった. 療養所16施設のMRSA検出率は入院患者で0~50%, 外来患者で0~20%であり, 国病群に比べて低値であった. MRSA検出入院患者の収容状況については, 回答のあった147施設のうち, 質問項目の複数回答で, 59施設(40%)はMRSA検出患者全員を個室収容しており, 75施設(51%)はMRSA検出患者の一部を個室, 他はMRSA検出患者のみ同室収容していた. 現状では比較的隔離収容されていると考えられる. MRSA検出患者の退院, 転院に関しては, 複数回答で, 約50%の施設はMRSAが消失するまでに退院, 転院させていないが, 約40%はMRSAが検出されている状態で退院, 転院させていることが明らかになった.
  • 木下 正博, 中村 靖, 中谷 精樹, 森脇 要
    1993 年 47 巻 1 号 p. 32-34
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は78歳の男性. 右化膿性肩関節炎のため整形外科で抗生物質の全身投与(FOM, MINO)と内服(NFLX)および肩関節持続洗浄(FMOX-Na)を受け軽快した. しかし貧血などが出現したため当科で精査したところ, 正球性低色素性貧血(赤血球220×104/μl, 血色素7.0g/dl, ヘマトクリット20.7%)と好酸球増多症(白血球6800/μl, 好酸球16%)および両側胸水貯留を認めた. 胸水は浸出性で細胞数4800/μlであり, 好酸球と組織球がほとんどであった. リンパ球刺激試験でFMOX-Naが陽性であり, 薬剤による貧血, 好酸球増多症, 好酸球性胸膜炎と考えた. プレドニゾロン20mg/日を投与したところ速やかに軽快し, 漸減, 中止後の再発もみられていない.
  • 中原 由紀子, 中原 保治, 松山 榮一
    1993 年 47 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和58年より平成元年の間に当院にて経験した血液培養で起炎菌の確認された感染性心内膜炎7例について検討した. 男性4例, 女性3例で, 年齢は19歳から70歳であった. 基礎心疾患は僧帽弁疾患4例, 大動脈弁疾患4例(大動脈弁置換術後1例), 左室右房交通症1例で, 2例は再発例であった. 起炎菌は全例グラム陽性球菌であった. 初発症状は発熱(6例)・呼吸困難(3例)の他に動悸が1例で, 入院時2例に発作性上室性頻拍, 1例にWenckebach型房室ブロックが認められた. 心不全が進行した3例に手術施行し2例は救命し得たが, 1例は術後死亡した. 入院時重症心不全の2例は手術し得ず死亡した. 内科的治療で治癒したのは2例のみで, 強力な治療にもかかわらず心不全の改善が認められない場合は手術に踏みきる必要があると思われた.
  • 椋田 稔朗, 古川 正幸, 白水 康司, 山田 幸生, 若杉 英之, 園田 文孝
    1993 年 47 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 超音波・CT・血管造影などにより肝の嚢胞性悪性腫瘍との鑑別がきわめて困難であった外瘍性肝内血腫の1例を経験したので報告する. 症例:64歳, 女性. 主訴:右季肋部痛. 現病歴:昭和63年3月踏台より転落し右側腹部を強打. 右季肋部激痛, 発熱(38℃)あり, 肝機能障害を指摘され精査目的にて4月当院入院. 現症:軽度の貧血を認め腹部では肝を2横指触知した. 検査成績:WBC 4400/mm3, Hb 9.9g/dl, GOT 35U/l, GPT 154U/l, AFP 20ng/ml以下, CEA 3.2ng/ml. 腹部超音波及びCTで肝右葉に直径55mmの腫瘤形成が疑われた. 血管造影では同部を中心に無血管領域と周囲の濃染像を認めた. 臨床経過:貧血や肝機能障害は徐々に改善. 超音波誘導下穿刺にて同部より少量の血液を吸引し細胞診では悪性の所見は認められなかった. 同部の腫瘤は徐々に縮小した. 以上, 肝膿瘍, 嚢胞腺癌, 転移性肝癌などとの鑑別を要する興味ある症例であった.
  • 椋田 稔朗, 古川 正幸, 山田 幸生, 瀬尾 洋介, 若杉 英之, 清成 秀康, 園田 文孝, 勝田 弥三郎
    1993 年 47 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 輪状膵を伴う膵胆管合流異常に胆管癌の合併をみた1症例を経験し, その手術標本を詳細に観察する機会を得たので報告する. 症例:46歳, 女性. 主訴:黄疸. 現病歴:昭和63年6月初旬, 黄疸を指摘され増悪するため入院. 現症:著明な黄疸を認めたが胸腹部に異常なし. 検査成績:血液生化学では総ビリルビンと胆道系酵素の上昇あり, 腹部超音波及びCTにて肝内胆管と総胆管が著明に拡張していた. ERCPでは主膵管に著変はなかったが膵胆管合流異常が示唆された. PTCで総胆管末端は閉塞し, 胆汁細胞診はClass IV. 7月膵頭十二指腸切除術が施行された. 手術及び切除標本の造影所見の検討から主乳頭より3cmの部位で総胆管と主膵管が合流し, 総胆管は嚢状に拡張, さらにその末端に胆管癌を合併していた. また膵頭部には輪状膵がみられた. これまでに膵胆管合流異常と輪状膵の合併の報告はなく, きわめて興味ある症例と考える.
  • 若杉 英之
    1993 年 47 巻 1 号 p. 48-54
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Acarbose(α-glucosidase inhibitor)をインスリン非依存型糖尿病17症例(うちsulfonylurea剤投与7例)に試用し, 各種糖質負荷試験成績・血糖・尿糖・HbA1値・体重・血清脂質に及ぼす効果ならびに副作用につき検討した. 本剤の直前投与により, マルトース負荷時の血糖上昇抑制は有意でなかったが, スクロース, デンプン, 坂口食負荷時の血糖上昇は明らかに抑制され, 血中IRI反応も低下した. また, 食後の血糖上昇は抑制され, 血糖日内曲線は平坦となり, 食後の尿糖排泄も著減した. 本剤の投与量が増加するとき, その効果も著明となった. 連日投与により, 空腹時および食後血糖値, 尿糖量は有意に低下したが, 体重・血清コレステロール・血清トリグリセライドに有意な変化は認められなかった. 7例に腹部症状(放屁の増加, 腹部膨満感)が出現したが, 投薬を中止したのは2例(11.8%)であった.
  • 野上 玲子, 前川 嘉洋
    1993 年 47 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    治らい薬長期投与中で, 過去4年間にわたり塗抹で菌指数0の鎮静期にあるL型らいの患者(60歳, 男性)に発生したノルウェー疥癬を報告した. これを発端として患者が入院した国立療養所恵楓園医療センター内の患者, 職員間に疥癬が蔓延したが, 疥癬を発症したらい患者群と非発症患者群との間に, らいの病型, 菌指数, 治らい薬, 合併疾患などに差はなく, らい患者が疥癬に対し易感染性を示す傾向はないと考えられた. ノルウェー疥癬へ進展した原因は, 診断の遅れと, コルチコステロイド剤が長期にわたり外用および内服きれたことによる免疫低下に起因するものと考えられた.
  • 藤本 和久, 玉城 廣保
    1993 年 47 巻 1 号 p. 59-61
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    化膿性肉芽腫は皮膚や粘膜に発生する肉芽腫性病変である. 口腔領域において, その成因については種々述べられているが, 一定の見解は得られていない. 今回われわれは, 口蓋に発生した巨大な化膿性肉芽腫の1例を経験したので報告する. 本症例は外科的に切除され, 術後問題はなく, 現在のところ再発はない.
  • 1. 先天性横隔膜ヘルニア―生直後発症例の治療―
    本名 敏郎, 河野 寿夫, 阪井 裕一
    1993 年 47 巻 1 号 p. 62-64
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 47 巻 1 号 p. 65-66
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 47 巻 1 号 p. 66-67
    発行日: 1993/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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