抄録
特異的5-Hydroxytryptamine3受容体拮抗剤であるGranisetronを全身照射時に用い, 十分な制吐効果を認めたので報告する.
症例は19歳の男性で骨髄異形成症候群[myelodysplastic syndrome, refractory anemia with excess of myeloblasts (RAEB)]にて治療中であったが, 貧血が進行するために骨髄移植目的で入院となった. 全身照射は12Gy/6分割/3日間を線量率5cGy/分で行った. 当院で従来行っていた嘔吐に対する治療法に加えて, Granisetron 40μg/kgを午前の照射2時間前に末梢静脈から投与した. 照射期間中に嘔気嘔吐の訴えはなく, 照射を1回も中断することなく全身照射を行えた.