医療
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消化管症状を合併する乳幼児期のアトピー性皮膚炎における経口Disodium Cromoglycate(インタール内服用)の臨床的検討
小田島 安平永山 洋子船橋 茂飯倉 洋治
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1993 年 47 巻 10 号 p. 804-809

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抄録
アトピー性皮膚炎の成因や増悪因子についてはまだ定説はなく, 食物抗原, 環境抗原など多因子の影響をうけていると考えられる. ところが, 経口Disodium Cromoglycate(インタール内服用)は消化管を介する食物抗原のみに関与し, 環境抗原の関与するアトピー性皮膚炎に関しては理論上全く無効である点を考えると, 有効例は環境抗原よりも食物抗原の影響を大きくうけていることになる. そこで今回, 食物の関与が疑われ, 何らかの消化管症状のある年少児アトピー性皮膚炎7例に経口Disodium Cromoglycateを投与し, その皮膚, および消化管症状に対する効果を検討した. その結果, 長期間つづく軟便下痢, 反復性の血便, 反復性の腹痛など消化管症状がある症例を対象としてみると7例中6例に消化管症状の改善が, 同様に6例に皮膚症状の改善が認められた. 清化管症状の合併したアトピー性皮膚炎では高率に経口Disodium Cromoglycateが効果を示したことで, アトピー性皮膚炎の原因検索の中で消化管症状が食物抗原の関与を疑わせるマーカーとなりうることが示唆された.
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© 一般社団法人国立医療学会
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