医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
リン吸着剤としての卵殼カルシウム製剤の透析患者における有効性
矢野 文雄福原 吉典
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 47 巻 10 号 p. 810-813

詳細
抄録
末期慢性腎不全や透析患者にみられる高リン(P)血症の是正は, 二次性副甲状腺機能亢進症の発症やそれに伴う骨病変の予防上重要である. 局方炭酸Ca投与で高P血症が是正されなかった透析患者(HD=2例, CAPD=1例)に卵殻Ca製剤(主成分=炭酸Ca)を等量投与し, 血清Ca・P・PTH値を経時的に測定しP吸着効果を比較検討した. 卵殻Caの投与で血清Pは有意(p<0.05)に低下しPTHは低下傾向を示した. これらの症例では高Ca血症は認めなかった. 走査電子顕微鏡による検討では, 局方炭酸Ca結晶が表面平滑な六面体構造を呈したのに対し, 卵殻Ca中の炭酸Ca結晶は表面が細かく砕けた不定形構造を呈していた. この炭酸Caの結晶構造の違いにより, 溶解度やP吸着有効面積に差が生じてP吸着効果が異なったと考えられた. 等量の炭酸Ca量では卵殻CaのほうがP吸着効果が強いことが証明された.
著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top