医療
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乳腺疾患に対する穿刺吸引細胞診の有用性と診断限界
津村 勲高塚 雄一吉川 宣輝山本 信夫林 輝子佐野 好文有馬 良一倉田 明彦
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1993 年 47 巻 3 号 p. 187-190

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抄録

当施設において1987年1月から1991年12月の5年間に穿刺吸引細胞診(aspiration biopsy cytology, 以下ABC)が施行され, かつ組織診断の得られた乳腺疾患515例を対象として, ABCの有用性と診断限界について検討し, 以下の知見を得た.
(1) true positive rateは80.7%(309/383)であり, これは2cm以下の小腫瘤に対しても76.8%(96/125)と低下しなかった. (2) false negative rateは11.7%(45/383)で, 硬癌や非浸潤癌で高く, 細胞異型に乏しいことがその最大の原因であった. (3) false positive rateは6.1%(8/132)で, 8例中mastopathyが4例, fibroadenomaが2例を占めた.
ABCは硬癌や非浸潤癌などに対する診断限界があるものの, 乳房腫瘤, 特に小腫瘤に対し, 有用性が高い補助診断法といえる. しかしながら, false positiveがあることに留意し, 各種補助診断による総合診断が重要であることはいうまでもない.

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© 一般社団法人国立医療学会
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