胸腺腫への免疫学的アプローチによって, 2, 3の新知見を得ることができた.
まず, 胸腺腫内リンパ球のクラスター分類を行い, 胸腺腫は皮質型, 髄質型, およびその中間型にわけられることを知った. このことは, 現在上皮性腫瘍細胞の面からも支持されつつある.
ついで, 胸腺腫と自己抗体について検討した. MG合併胸腺腫において抗Ach-R抗体価は当然高値を示すが, MG非合併胸腺腫においても, 20%程度に抗Ach-R抗体価の高い症例がみられ, 胸腺腫摘除に発症するMGとの関係で興味深い. 抗筋抗体は胸腺腫診断の補助手段として有用である.
胸腺腫摘除後に発症するMGは, MG非合併胸腺腫の約5%にみられるが, 筆者らのretrospective studyではその半数は症状の見落し, 1/4は腫瘍再発, のこり1/4は病因推測不能であった.
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