医療
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47 巻, 3 号
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  • 伊藤 元彦
    1993 年47 巻3 号 p. 169-173
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胸腺腫への免疫学的アプローチによって, 2, 3の新知見を得ることができた.
    まず, 胸腺腫内リンパ球のクラスター分類を行い, 胸腺腫は皮質型, 髄質型, およびその中間型にわけられることを知った. このことは, 現在上皮性腫瘍細胞の面からも支持されつつある.
    ついで, 胸腺腫と自己抗体について検討した. MG合併胸腺腫において抗Ach-R抗体価は当然高値を示すが, MG非合併胸腺腫においても, 20%程度に抗Ach-R抗体価の高い症例がみられ, 胸腺腫摘除に発症するMGとの関係で興味深い. 抗筋抗体は胸腺腫診断の補助手段として有用である.
    胸腺腫摘除後に発症するMGは, MG非合併胸腺腫の約5%にみられるが, 筆者らのretrospective studyではその半数は症状の見落し, 1/4は腫瘍再発, のこり1/4は病因推測不能であった.
  • ―ソンディテストを中心に―
    升田 慶三, 升田 春夫
    1993 年47 巻3 号 p. 174-181
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1. 国立療養所原病院筋萎縮症病棟入院中のミオパチー患者(筋ジストロフィー症及び脊髄性筋萎縮症患者)73症例の心理学的検査をソンディーテストにより施行し, データを集計し, そのパーソナリティを全体的に検討した. 正常対照として当院職員16名を用いた.
    2. ソンディーテストは判定は難しいが, その施行もデータの処理も比較的簡単で, 筋力低下のある患者にも容易に可能である.
    3. 長期入院, 予後不良である患者を収容する筋ジス病棟でその療護, 性, 不安や生きがいの問題の解決には患者の表面的な人格のみでなく, 心の在り方の深層を探り知る必要があり, 今後精神科診察の補助として臨床的に活用する.
  • ―超音波ドップラー法によるAPI測定の臨床的意義―
    王 暁宇, 若杉 英之
    1993 年47 巻3 号 p. 182-186
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    外来通院中の77症例(男性52名, 女性25名, 43~83歳)に対し超音波Doppler法を用いて下肢末梢血管障害の有無(API: Ankle Pressure Index)を調査し測定の意義につき検討した. 対象症例は膵性糖尿病(慢性膵炎)13例, 一次性糖尿病(NIDDM)38例, その他の疾患26例で, API値を振動覚(TM-31Aによる), 体脂肪(BFT-2000による)測定値, 他の検査成績と比較した. 全症例のAPI(左右平均)は1.05±0.017(M±SE)で, 男女差, 年齢差は認められなかった. 膵性糖尿病症例は一次性糖尿病に比し有意の高値を示した. 糖尿病罹病期間との関係は明らかでなかった(一次性糖尿病). API異常(<1.0)は一次性糖尿病11例, 他疾患8例(計19例, 24.7%)にみられ, 振動覚, 体脂肪, 血清コレステロール, HbA1値, 体重の中でAPIと有意の相関を示したのは体脂肪であった. 今回の調査から, 末梢血管障害の出現は糖尿病に特異的とは結論できなかったが, 肥満との関係が示唆された. また膵性糖尿病で出現頻度の少ないことが注目された.
  • 津村 勲, 高塚 雄一, 吉川 宣輝, 山本 信夫, 林 輝子, 佐野 好文, 有馬 良一, 倉田 明彦
    1993 年47 巻3 号 p. 187-190
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当施設において1987年1月から1991年12月の5年間に穿刺吸引細胞診(aspiration biopsy cytology, 以下ABC)が施行され, かつ組織診断の得られた乳腺疾患515例を対象として, ABCの有用性と診断限界について検討し, 以下の知見を得た.
    (1) true positive rateは80.7%(309/383)であり, これは2cm以下の小腫瘤に対しても76.8%(96/125)と低下しなかった. (2) false negative rateは11.7%(45/383)で, 硬癌や非浸潤癌で高く, 細胞異型に乏しいことがその最大の原因であった. (3) false positive rateは6.1%(8/132)で, 8例中mastopathyが4例, fibroadenomaが2例を占めた.
    ABCは硬癌や非浸潤癌などに対する診断限界があるものの, 乳房腫瘤, 特に小腫瘤に対し, 有用性が高い補助診断法といえる. しかしながら, false positiveがあることに留意し, 各種補助診断による総合診断が重要であることはいうまでもない.
  • 辻村 晃, 今津 哲央, 西村 憲二, 松宮 清美, 菅尾 英木, 岡 聖次, 高 羽津
    1993 年47 巻3 号 p. 191-195
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1988年4月から1992年3月までの4年間に当科において永久尿路変更としてtubeless尿管皮膚瘻術を施行された16例を検討し考察を加えた. 対象症例は男性4例, 女性12例で38歳から79歳(平均62.9歳)であった. 原疾患は9例が子宮癌, 4例が膀胱癌, 1例が前立腺癌, 1例が膀胱癌と前立腺癌の合併, 1例が間質性膀胱炎であった. 我々は3種類の尿管皮膚瘻術を施行した. すなわち尿管尿管吻合を伴う尿管皮膚瘻術9例, 一側のみの尿管皮膚瘻術6例, 両側にstomaを有する尿管皮膚瘻術1例である. 術後, 3例はcatheter留置が必要となった. うち2例はstoma狭窄, 1例は尿管尿管吻合不全によるものであった.
    最終的に13例(81.2%)が平均15.5カ月間catheter留置なく経過できている.
  • ―肺血管外水分量測定の面から―
    久保 進, 藤田 紀代, 中富 昌夫
    1993 年47 巻3 号 p. 196-199
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肺気腫における肺血管床の反応性をみるために, 慢性肺気腫9例(平均年齢70.9±3.9歳)において, 酸素(3l/min, 15min)及び亜硝酸薬(ISDN, 5mg舌下)の投与前後に肺循環動態と熱ナトリウム二重指示薬希釈法による肺血管外水分量(ETVL)及び中心血液量(CBV)の測定を行った. 酸素, ISDNともに肺動脈圧と心拍出量を有意に低下させた. ETVLとCBVは酸素投与で若干の増加傾向を認めたが有意な増加ではなく, ISDNでは変化を認めなかった. 以上の結果より慢性肺気腫における肺血管床の反応性は低下しているものと考えられた.
  • 宮地 修平, 西山 辰美, 高田 統, 林 良輔, 鈴木 盛一, 雨宮 浩
    1993 年47 巻3 号 p. 200-204
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は, イヌの末梢血リンパ球を用いたリンパ球混合培養(MLC)をin vitroにおける移植モデルとして各種免疫抑制剤の効果について比較検討を行った.
    各免疫抑制剤とも, 濃度依存的な免疫抑制効果を示した. CsA, PSL, AZP, MeDSGはほぼ同等の抑制効果であったが, MZはそれらに比べて1/100倍で最も弱く, FKは1000倍で最も強い効果が認められた.
  • 越田 理恵, 丸山 博昭, 奥田 則彦
    1993 年47 巻3 号 p. 205-210
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    マイコプラズマ肺炎感染症が誘因と考えられた血小板減少性紫斑病の8歳男児を経験した. 約10日前から気管支炎症状を認め, 多数の出血斑と止血困難な鼻出血をおこして当科に紹介された時にはすでに血小板は著明に減少していた. 入院後は大量の消化管出血のために相当量の輸血にもかかわらずショック状態に陥った. しかし副腎皮質ホルモンの投与によって血小板数は徐々に増え始め, 入院4日目には出血が止まった. さらに2週間後には血小板数は正常化した. 入院時の胸部X線所見と血清抗体価の推移によってマイコプラズマ肺炎感染症が診断され, それに付随して血小板減少がおこったと推測された. これまでの報告ではマイコプラズマ感染症に合併した血小板減少性紫斑病はすべて急性で予後良好な経過であった. 血小板減少に関しては病原体の直接的侵襲というよりはマイコプラズマ感染が引き起こす免疫応答の異常が深く関与していると考えられた.
  • 吉村 力也, 赤星 隆一郎, 杉浦 龍登, 米村 政昭, 辻 明徳
    1993 年47 巻3 号 p. 211-214
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症に心房細動, さらに無痛性の心筋梗塞を合併し, 冠動脈造影で有意の冠狭窄を認めなかった症例を報告する.
    60歳男性で, 肥大型心筋症にて経過観察中心房細動が出現し, その約3カ月後に中隔から下壁の無痛性心筋梗塞を合併した. 冠動脈造影で有意の狭窄を認めなかったことから, 本症例の心筋梗塞の機序として, 心房細動に伴う冠動脈血栓塞栓症およびその後の塞栓溶解が推測された.
  • 工藤 幸晴, 黒田 衛, 木村 久男
    1993 年47 巻3 号 p. 215-219
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    気管支喘息患者に対するステロイド吸入療法(beclomethasone dipropionate inhaler, BDI)の有用性を諸経口抗喘息薬をすべて中止しBDIに変更した6症例(平均年齢37歳, 男性2名, 女性4名)と経口薬を減量しBDIを追加した6症例(平均年齢56歳, 男性2名, 女性4名)の計12例を対象に検討した. その結果, 中等症以下の患者においてはBDI単独のみで, 肺機能, 臨床症状の著明な改善が認められた. 重症例においてはBDIの追加により, 経口抗喘息薬の減量が可能となり経口薬による種々の副作用が消失し, かつ臨床症状も著明に改善した. 以上から気管支喘息患者に対するステロイド吸入療法は非常に有用な方法であると思われた.
  • 村山 鉄郎, 山田 哲夫, 田口 裕功, 斉藤 研二
    1993 年47 巻3 号 p. 220-222
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    褐色細胞腫の好発年齢は20~50歳であり, 老人に発生することはめずらしい. 我々は71歳の女性にみられた本症の1例を経験した. 腹部エコ-にて右上腹部に腫瘤を発見され, CTにて右副腎腫瘍と診断された. 血中, 尿中ノルアドレナリンに軽度の上昇が認められ, 褐色細胞腫と診断された. 右副腎腫瘍摘出術が行われ310gの腫瘍が摘出され, 組織学的に褐色細胞腫と確認された. 術後血中, 尿中ノルアドレナリンは正常化し高血圧も消失した. 退院後血中カテコールアミン値は正常であるが血圧はしだいに上昇し, 現在は降圧剤を投与しながら経過観察中である. 老人の褐色細胞腫について文献的考察を行った.
  • ―とくにその診断について―
    村山 鉄郎, 山田 哲夫, 田口 裕功
    1993 年47 巻3 号 p. 223-226
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は過去6年間に4例の腎血管筋脂肪腫を治療した. 2例に腎摘出術が行われ, 結節性硬化症を伴った他の2例については手術を行わず経過観察中である. 4例中2例は腹部CT, 超音波検査, 血管撮影により確定診断ができなかった. そこで腎血管筋脂肪腫の診断について考察を行った.
  • 藤田 誠司, 藤原 葉一郎, 奥村 次郎, 長村 敏生
    1993 年47 巻3 号 p. 227-230
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脳梁欠損症は脳の先天奇形疾患としてそれほど稀有なものではないが, その出生前診断についての報告例は本邦ではいまだ散見されるにすぎない. 今回我々は妊娠29週に胎児エコーで脳室拡大の所見を得, 胎児水頭症を疑い, 生後ただちにシャント術を施行すべく, 妊娠36週時, 帝王切開術にて児の早期娩出を試みたが, 生後脳梁欠損症と判明, 治療手段なく経過した症例を経験した.
    本症の胎児期における超音波診断のcriteriaは, 1) 第3脳室の拡大と挙上, 2) 側脳室後角の拡大, 3) 透明中隔像の欠如, 4) 側脳室の離開と平行化, である. 本症は脳室拡大所見から水頭症と類似するが, その病態は全く異なり水頭症の鑑別疾患として常に念頭におく必要がある. また本症に高率に合併する奇形の存在が患児の予後を大きく左右するため, 本症の出生前診断は他の奇形を検索, 診断するきっかけになるという点でも, 周産期管理上重要であると思われた.
  • ―1例報告―
    石岡 達司, 瀬崎 達雄, 長田 高壽, 藤岡 正浩, 田中 信一郎
    1993 年47 巻3 号 p. 231-234
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性糸球体腎炎による腎不全のため21歳より血液透析に導入された33歳女性に対し, 2重濾過プラズマフェレーシスを施行した際に血清アポ蛋白, Lp(a)濃度を経時的に検討した.
    血漿交換直後にはアポ蛋白B(ApoB)とLp(a)はそれぞれ血漿交換前値の46%, 43%に減少したが, ApoBは血漿交換後24時間後には61%, 48時間後には65%程度に回復した. 一方, Lp(a)は24時間後49%, 48時間後には91%に回復し, 血漿交換前値への回復はApoBに比較して急であった. この期間のFractional catabolic rateを算出するApoBでは0.33/日, Lp(a)では0.51/日でありLp(a)の異化はApoBより亢進していた.
    以上より, 慢性腎不全時の高Lp(a)血症発現には腎からのLp(a)排泄障害よりむしろLp(a)産生亢進による影響が高いと思われた.
  • 3. 気管支肺疾患 1 ―気管気管支疾患―
    本名 敏郎
    1993 年47 巻3 号 p. 235-238
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1993 年47 巻3 号 p. 239-240
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1993 年47 巻3 号 p. 240
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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