抄録
当院におけるHCV母子感染の頻度を検討するため, 第2世代HCV抗体を用いて妊婦のスクリーニングを行い, 抗体陽性妊婦より出生した児のHCV抗体とHCV-RNAの検出を行った.
HCV抗体は妊婦278例中3例(1.1%)に検出され, そのうち1例にHCV-RNAが検出された. その症例では臍帯血の抗体も陽性であったが, 生後6ヵ月の検査でHCV抗体価は低下し, HCV-RNAは検出されなかった. したがって, HCV-RNAの検出された妊婦1例より出生した児のHCV抗体は移行抗体と考えられ, 母子感染は認められなかった.
また, HCV母子感染を検討する場合, HCV抗体価の推移とHCV-RNAの検出が重要であると思われた.