1993 年 47 巻 9 号 p. 699-704
上大静脈高位に還流する心房中隔欠損症を伴った部分肺静脈還流異常症の2例を経験した. 手術は異常肺静脈が還流する部位の末梢側で上大静脈を切断し, 上大静脈と右房の間を右心耳または, 右心耳と心膜で作成したconduitを用いて吻合し, 新たな上大静脈を形成した. また異常肺静脈からは本来の上大静脈を経由して右房内のbuffleをとおり心房中隔欠損口をとおって左房に至る血流路を作成した. 術前後の解剖学的構造の診断にはMRIが有用であった. 本法は高位上大静脈に還流する部分肺静脈還流異常症の治療に有効な術式であると考えられた.