1994 年 48 巻 5 号 p. 347-353
健常人22名, 慢性肺疾患患者22名を対象として慢性呼吸不全患者における自律神経機能の日内変動を24時間ホルター心電図におけるRR間隔のスペクトル解析により検討した. その結果慢性呼吸不全患者では健常人と比較して, 1)低周波成分(LF, 0.04~0.15Hz)も高周波成分(HF, 0.15~0.40Hz)もパワーが低いこと, 2)LF, HF, LF/HFの日内変動が小さいこと, 3)5例の呼吸不全患者ではLFとLF/HFが健常人と異なって夜間に有意に上昇するバターンを示した. これらの結果は呼吸不全患者では夜間交感神経緊張状態にある症例が存在することを示唆しており, 今後血液ガス, 肺機能, 呼吸パターンなどとの関連を検討する必要があるものと思われた.