1994 年 48 巻 5 号 p. 354-359
近年, 高中性脂肪血症の冠動脈疾患への関与が明らかにされ, Syndrome Xという概念にみられるように脂質代謝異常のみならず耐糖能異常, 肥満, 高血圧症, 高インスリン血症を合併した症候群として冠動脈疾患の危険度を把握しようという傾向にある. かかる現状では従来のように, コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロールだけから冠動脈疾患の危険度を判断することは不十分であり, VLDLやレムナントを反映したリポ蛋白代謝の面から脂質代謝異常を検討することが必要である. 筆者らはリポ蛋白電気泳動を簡便に行えるLipophor systemを用い, 泳動像をLDL部分の形状により4型に分類(S, A, N, D分類)し動脈硬化性疾患発症の危険度の一つの指標としている. 本論文ではこの型分類を紹介し, 心筋梗塞や糖尿病では異常とみなされる型の出現頻度の高いことを示し, その異常が薬剤の投与により改善することを示した.