1994 年 48 巻 5 号 p. 360-363
症例は42歳の女性. 1987年の検診で, 胸部X線像上, 異常陰影を指摘されていたが, 放置していた. 1990年, 咳漱, 喀疾, 発熱を主訴とし, 本院に受診した. 大動脈造影で異常動脈が大動脈から発生し, 右下葉に向かっていたため肺葉内分画症と診断した. 開胸するに, 肺靱帯内に異常血管を認め, 結紮切除し, 右下葉切除を行った. 切除標本の血管造影によって, 本症例はPryce III型分画症に相当することが判明した. 現在, 術後3年経過しているが, 健在である.