抄録
新主児期発症の重症先天性心疾患(CHD)に対す術前管理を向上させる目的で, CHDのために瘢送入院した新生児64例を対象に, 搬送前(搬送病院)および搬送中の酸素投与の有無および濃度についてretrospectiveに検討した. 搬送前と搬送中の酸素濃度を比較すると, 増加13例, 不変30例, 減少21例であった. CHDの疾患群別の検討では, 単純な肺血流減少型疾患(7例)の平均値が搬送中に増加していたのに対し, 動脈管依存型疾患(37例)および肺血流増加型疾患(20例)の平均値はそれぞれ減少および不変であった. CHDに対する高濃度酸素のadverse effectには十分注意するべきであるが. 当院の新生児期CHDに対する酸素使用状況は適切であると考えられた. 今後ともCHD児への慢然とした酸素投与は慎むべきであると思われた.