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出生時臍帯動脈血ガス分析の検討
真田 光博木岡 寛雅村上 順子谷岡 慶英内藤 博之藤井 恒夫
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1994 年 48 巻 6 号 p. 423-428

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抄録
国立呉病院母子医療センターにて分娩, 出生した新生児210例に対して臍帯動脈血ガス分析を施行し, 以下の結果を得た.
1) 出産年齢, 出生体重, 分娩様式と臍帯動脈血ガスの間に有意な関係は認められなかった.
2) 在胎週数では, 37週未満群にpH値が高くなっている症例が多く認められた.
3) 分娩第2期所要時間を20分未満と20分以上に分けた検討では, 20分以上群でpH値が有意な低下を示した.
4) 羊水混濁が認められた症例では, アシドーシスを示す傾向が強かった.
5) Apgar scoreと臍帯動脈血ガスの検討では, Apgar score7以下の群と8以上の群の間に有意差はなく, 両者の解離傾向が認められた.
以上より, 出生時の児の状態を知るには, Apgar scoreによる判定とともに臍帯動脈血ガス分析を行い, 出生前の児の生化学的状態をも把握し, その後の管理に役立てることが重要と考えられた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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