抄録
双極性躁うつ病で炭酸リチウムを5年~14年内服している35~62歳の男性13例, 24歳~69歳の女性18例計31例に病状が安定し, ほかの向精神薬の影響の少ない時期に2年以上の間隔で2回以上, 計75回の脳波を記録し, 初回と最終回を比較した. 不変12, 悪化11, 改善8で悪化群は年齢の高いもの, 長期内服例に多い傾向を示し, 悪化の内容はいずれも程度は軽いが, 脳の機能低下を思わせる所見が多く, 加齢との関係が考えられた.
一方, 改善群は, 女性7例, 男性1例と特に女性に多く, 年齢の低い層での改善が目立った.
以上から, 炭酸リチウムの投与を続けていても, 脳波所見が改善する例があり, 少なくともある年齢までは, 脳波異常は可逆的なものと考えられ, ただちに投与を中止, 減量する根拠とはならないが, 高年齢層, 特に55歳以上では慎重にしなければならないと考えられた.