抄録
1993年4月以後, 3D-CT Angiography (CTA)を日常臨床において使用し, その有用性について報告した. 脳動脈瘤23病変は, 中大脳動脈分岐部の1~2mmの1例を除き全例診断可能であった. 前交通動脈瘤で後方突出例, 内頸動脈後交通動脈分岐部動脈瘤とinfundibular dilatationとの鑑別には, DSAと比較してより有用な情報を得られた. また, DSAで看過されていた内頸動脈分岐部の前方突出の動脈瘤を診断しえた例もあった. 頸部内頸動脈狭窄症例では, 潰瘍形成も描出可能でWRAと比較してturbulent flowによるアーチファクトもなくこの部位の非侵襲的検索に有用であった. 頭蓋内閉塞性病変の検出には, 狭窄程度などの質的診断は困難で, 得られる情報はDSAにはるかに劣る. CTAは, 検査時間も短く, 従来のDSAに比してはるかに低侵襲で, 特に脳動脈瘤, 頸部頸動脈病変の評価に有用である.