抄録
初回寛解導入中に肺の深在性真菌症の合併が強く疑われた急性リンパ性白血病の1小児例を経験した. 症例は3歳の男児初回寛解導入中に発熱と咳を示し, 胸部X線とCT検査で肺のアスペルギルス症が疑われた. 両親の承諾が得られなかったため, 抗真菌剤の投与も肺の切除術も行わなかった. 骨髄の寛解は得られたが, 著明な好中球減少を防ぐために以後の抗腫瘍剤の使用量は約80%とした. 臨床経過は白血病, 肺のアスペルギルス症ともに順調で, 10ヵ月後のCT検査では肺の病変はほとんど消失していた. 末梢血幹細胞移植の適応を検討中である.