1998 年 52 巻 12 号 p. 716-719
腸骨腿動脈領域の閉塞疾患22名に23回のバイパス手術が行われた. 男性20人, 女性2人で, 41-89歳(68.9±11.4歳)であった. 解剖学的再建は大動脈大腿動脈が6例, 腸骨動脈-大腿動脈が3例の9例であり, 非解剖学的再建は大腿- 大腿が8例, 腋下-大腿が6例の14例であった. 非解剖経路の選択は高齢など全身的理由が8例, 再手術などの局所的理由が6例で, この両者の年齢間に有意差がみられた. 5年開存率は
解剖経路で83%, 非解剖経路で59%であり, 両群間に差は認められなかった. 本領域の解剖学的再建の成績は良好であるが, 全身および局所的理由から非解剖経路が選択される例も多く, 慎重な対応が要請される. 解剖経路再建後早期に閉塞した例の検討から, 動脈硬化の危険因子は若年層で増加している部分もあり, 厳しい日常生活のコントロールは高年者より若年層に必要との意見に同意できる結果であった.