医療
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重症心身障害者の呼吸器感染時喀痰貯留に対する経鼻気管内吸引と小気管切開術
六田 暉朗増田 栄太朗環 正文杉本 友則三木 啓司喜多 青三住友 美智代淡井 千恵子島 弘子清水 恒実笠井 恵美子小名木 玲子
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1998 年 52 巻 6 号 p. 367-371

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抄録
重症心身障害者の肺炎等呼吸器感染症7例(延べ19例)に, 経鼻気管内吸引を施行した. その適応は喘鳴あるいは異常呼吸音があり, 間接的な方法では排痰不十分と判断された症例であった. カテーテルの気管への挿入は難易差はあったが, 全症例で可能であった. その際, クードチップ型カテーテルが気管への挿入に有用であった. 全例治癒したが, 3例はさらに他の処置を要した. そのうちの1例は喀痰が多く, 小気管切開術(minitracheotomy, 以下MT)を施行したところきわめて有効で, 治癒した. 他の1例は頚部の強い後屈を反復する症例で, MT施行後1日でカニューレが抜け, その後上部気管狭窄を認め気管切開を施行し治癒した. 残る1例は空洞を伴う肺膿瘍から膿気胸に進展し, 胸腔ドレナージを施行し治癒した. 経鼻気管内吸引は, 簡便で看護婦にもできる, 他の方法に先立つ有用な方法と考えられた. また, MTは症例によっては, 気管切開を回避できる簡便, 有用な方法である.
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© 一般社団法人国立医療学会
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