医療
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転移性子宮頸部腺癌の細胞学的検討
丹後 正紘瀬戸 俊夫渡辺 駅七郎
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1998 年 52 巻 9 号 p. 534-538

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抄録

子宮頸部に子宮以外の臓器に原発した癌が転移することはまれとされているが, 当科で扱った子宮頸部腺癌69例中12例(17.4%)が転移性腺癌であった. 原発巣は12例中胃癌4例, 乳癌, S状結腸癌, 卵巣癌, 直腸癌がそれぞれ2例ずつであった. 胃原発の4例は原発巣がすべて印環細胞癌であり, その細胞像は比較的きれいな背景に粘液を有し, レース状の細胞質からなる印環細胞が集団を形成していた. 大腸原発例では汚い背景に高円柱状の細胞の柵状配列がみられた. 乳癌原発例では腫瘍性背景のなかに小型類円形細胞が乳頭状に出現していた. 細胞診で原発性か転移性かの鑑別は難しいが, 頸部腺癌では転移性を考慮に入れておく必要がある.

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© 一般社団法人国立医療学会
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