医療
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乳腺と甲状腺疾患の内視鏡下手術
古田 一徳朝戸 裕下山 豊坂田 道生宮部 理香
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1999 年 53 巻 12 号 p. 782-786

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抄録
我々の行っている乳癌に対する内視鏡下腋窩リンパ節郭清術の最大の利点は, 従来法の手術に比べて, 腋窩の深胸筋膜の切開を行わず, 術後の腋窩のひきつれがなく, 肩関節の可動域の回復が非常に良好であり, リハビリテーションによる癒痛が軽いことである. また, 腋窩の傷が目立たず, 入院期間の短縮が可能であるなどである. 問題点として, 保険適応が現在のところない. 小範囲であるが, 皮下気腫が生じるなどがある.
内視鏡下甲状腺切除術については, 利点としては従来の手術では, 疾患によらず, 前頚部の皮膚切開は両側に広範囲になることが多く, 手術瘢痕は人目に付きやすい. 内視鏡下手術では手術創は完全に下着によって被覆される. 合併症で反回神経の損傷についても, 内視鏡下手術では, 良好な拡大視野のために, 反回神経損傷は最小限に抑えられる. 今後の課題は, 手術時間の短縮である.
これら内視鏡下手術とも手術に対する習熟や手技の工夫, 手術器具の開発がなされることで, 他の内視鏡下手術と同様に手術時間の短縮とともに今後, 適応の拡大がはかれると思われる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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