医療
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Evidence Based Medicineを念頭に入れた治療の適応と限界について
―集中治療室での経験―
大内 将弘伊藤 良子
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キーワード: 治療の適応, 治療の限界
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1999 年 53 巻 4 号 p. 274-277

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抄録

救急の現場やICUなどでは, 現在考えられているありとあらゆる治療手段を駆使して, 治療に当たるのが医師の使命である.
しかし, 色々の治療によってもこれ以上よくならないと医療者側が認識しても最後まで, 濃厚治療を続けているのが現実ではないだろうか. 当院集中治療室勤務看護婦18名によるアンケート調査では, これ以上の濃厚治療は意味がないと感じたことがあるとの回答は100%であった. 主なものは, 長期の人工呼吸管理, 末期症例に対するアルブミンなど血漿製剤の過量投与, 長期の補助循環などであった. 医療資源の有効利用の観点からも, 集中治療室という危機的状況におかれた症例に対しても, 臨床医がより科学的根拠に基づいて治療法を選択, 決定すべきであるとのEBM手法を念頭にいれた治療と適応の限界について考える時期にあると考えている.

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