抄録
変形性股関節症の保存的治療の一手段として股関節装具がある. 畑野が開発した大腿骨顆部支持装具を改良し, 大腿骨内顆棚支持式免荷装具を作製した. すなわち坐骨部は四辺形ソケットの形状で, 顆部ソケットは棚状部分に乗る舌状突出部がついている. 対象は看護婦5人と女教師, OL各1人の7例で, 片側性の初期関節症患者で, 平均年齢31.1歳である. 非装着時の股関節痛は日整会評価点で20点から30点, 平均23.6±3.8点であった. 装着後は30点から40点, 平均35.7±3.5点へと明らかに疼痛軽減効果が認められた. アンケートによる装具の利点は全例が疼痛軽減効果と支持性効果を挙げたが, 一方着脱が面倒, 圧迫感, 不快感などの欠点もあり, 改良の余地がある. 国立療養所村山病院の床反力計による歩行評価システムを用い, 三方向床反力計上を自由歩行させ, 装具の有無で比較検討すると歩容因子の変化として, 再現性, 円滑性, 衝撃性などすべての因子の改善がみられ, 距離時間因子として歩速と歩巾の増大, 歩隔の減少がみられ, 歩容の改善, 安定性の増加が他覚的に証明された.