抄録
原発性副甲状腺機能亢進症を呈した症例について, 副甲状腺腫摘出後の骨密度の推移を二重エネルギーX線吸収測定法により観察したので報告する. 症例は22歳男性. 平成3年7月の18歳時, 体育の授業でバスケット競技中に橈尺骨骨幹部を骨折し, 続いて9月に, バイク運転中に車に接触し, 左上腕骨の外科頸を骨折した. 平成4月7月頃より全身倦怠感が増強し, さらに手指や前腕部に痛みが出現したため, 当科を受診した. 高Ca・高PTH血症が判明し, 9月に入院となった. 高Ca・低P・高ALP血症, PTH-intact高値, 尿中c-AMPの上昇, 尿細管リン酸吸収率の低下がみられ, CTにより甲状腺の右葉上部後面に径約10mmの副甲状腺腫が認められた. 201Tl-99mTcO4サブトラクションでは同部位にHot areaを認めた. これらの所見より右葉上部副甲状腺腫として摘出術を行った. 腫瘍は良性単発腺腫で, 腫瘍摘出後血清Ca・PTH濃度は速やかに正常化し, 倦怠感や上肢の痛みなどの諸症状も消失した. 以来, 現在まで約2年半, 血清Ca・PTH濃度は正常値が続いているが, この間の計5回におよぶ腰椎の骨塩定量ではいまだに正常値には達しておらず, 腺腫摘出後の骨密度の正常化には, 長期間を要することが示唆された