抄録
血漿BNP濃度が, きわめて短時間の左心室負荷において, その指標となり得るか否かについて検討した. 待機的冠動脈形成術(以下PTCA)を行った陳旧性心筋梗塞3例, 狭心症4例, 計7例を対象とした. 全例運動負荷心筋シンチで, 責任冠動脈領域に一過性心筋虚血を認めた. PTCAは1回の拡張を1分, 25%以下の狭窄をendpointとした. PTCA前後で, 末梢血および冠状脈洞(CS)の血漿BNPを測定し, その変化および診断カテーテルで測定した左室駆出率(LVEF)および左室拡張末期圧(LVEDP)との相関を検討した. 末梢血およびCSでの血漿BNP濃度はPTCA前後で有意な変化を示さず, LVEFおよびLVEDPとも有意な相関を認めなかった. 血漿BNPのPTCA中のきわめて短時間の心筋虚血における左心室負荷のマーカーとしての使用には, 限界があると思われた.