抄録
20例のバセドウ病患者において, 連続3回の受診時に採血し, 血中遊離サイロキシン(FT4)とTSH値を測定した. TSH値は同一検体をRIA法(TSH(RIA))と高感度第三世代イムノメトリック法(DPC・イムライズHS-TSH: TSH(DPC))で測定し, TSH(RIA)値とTSH(DPC)値, およびFT4値と両者の相関を単純回帰分析を用いて検討した. また, 経過中甲状腺機能が正常化せずにFT4値が変動したバセドウ病の4例において, FT4値の動向とTSH(RIA)およびTSH(DPC)の変動を比較し, TSH(DPC)の臨床的有用性を検討した. TSH(RIA)とTSH(DPC)の間には正の相関を認めた. FT4値とTSH(RIA), またはTSH(DPC)とはそれぞれ負の相関を示した. 抗甲状腺剤投与中でありながら甲状腺機能が亢進していた4例では, TSH(DPC)は低値の範囲で全例FT4の動きに対して矛盾しない変動を示した. TSH(RIA)では4例中3例でFT4の変動と合致しない動きを示した. 以上のことから, TSH(DPC)は, 従来の測定法では判定できない低値のTSHを感度よく測定でき, バセドウ病における治療方針の決定に有用であることが示唆された.