抄録
国立医療機関の小児慢性疾患病棟の役割について検討した. これまでは小児慢性特定疾患, そのうちで慢性腎疾患, 喘鼠の治療が主であった. それが慢性腎疾患に関しては学校検診の普及による早期発見早期治療の実施, 喘息に関しては予防薬の開発や治療の進歩により長期入院加療を必要とする重症な患児が少なくなってきた. その反面, 不登校や性格行動異常などの中学生や高校生が増加しており, これらに対して入院加療が必要となってきた. しかし現在の国立医療機関の小児慢性疾患病棟にはこのような患児を受け入れる設備や管理などの面が十分ではない. 速やかに小児慢性疾患病棟を整備することにより, 社会の要望にこたえるべきである.