医療
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新生児先天性心疾患の手術成績の変遷
太田 明古川 正強江川 善康川人 智久松村 長生
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1999 年 53 巻 8 号 p. 528-532

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抄録
1984年1月1日から1998年12月31日までに国立療養所香川小児病院で施行した新生児先天性心疾患の手術例104例(手術回数109回)を5年間毎の3期に分類し, 手術成績の変遷をみた. 新生児開心手術例数はI期が16例, II期が18例, III期が28例であった. 開心術総数が増加していたにもかかわらず, 新生児開心術の割合は減少していた. 第1の理由として, 最近の少子化を反映して, 伸び率が低下した. 第2は全開心手術例数が増加したため, 相対的に新生児開心術の占める割合が減少したと思われた. 新生児開心術による死亡率はI期が50%であったが, II期が42%, III期は21%と次第に低下した. 手術成績がI期とIII期に比べ, III期で良好になった理由はショック状態の児で最も顕著であった. 良好な術前状態で手術に臨むことができ, 術後管理の向上によるところが大きいと思われた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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