医療
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臨床現場における「根拠に基づいた医療(Evidence-Based Medicine)」の実践
尾藤 誠司
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1999 年 53 巻 9 号 p. 573-578

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抄録

本稿では, Evidence-Based Medicine (EBM)を臨床実践するに当たってのいくっかのポイントをまとめ, 効果的にEBMを実践するための総括を行った. まず, EBMは, 個別の患者, ケースとしての臨床判断の中で, どのように臨床研究文献を中心とした科学的根拠にアクセスし, 情報として有用に利用するかのガイドである. すなわち, 第一線で働く臨床実地家が行うことにこそ意義がある. そして, 最終的な臨床判断は(1)臨床的な状況と, 臨床家個人の技能, (2)研究から得られたEvidence, (3)患者さんの意向, を主要な要素として決定されるべきである. Evidenceをべ一スとした臨床判断は, 次のような4つのステップ, すなわち, 1臨床上の疑問点を明確化する, 2Evidenceを探す, 3Evidenceを評価・利用する. 4得られたEvidenceともに特定の疑問点(患者)に適用する, という段階を踏むことによって通常行われる. Evidenceを正しく簡潔に利用することで, あいまいであった臨床判断や臨床教育などの, 現場レベルでの有用性が期待される.

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