2000 年 54 巻 8 号 p. 339-342
本邦において前立腺癌は今後急速に増加する癌として注目されるようになってきた. この治療として前立腺全摘除術を行うことは高齢者に対してでも血清IL-6値でみるかぎり, 前立腺被膜下摘出術や経尿道的前立腺切除術と比べても手術侵襲に差はなかった. 術後尿失禁の頻度は70歳以上で高率であったが, 術後一過性の不穏状態からくる異常行動に注意をすれば重篤な合併症もなく, 病期B, Cの10年生存率もそれぞれ92.6%, 81.4%と満足のいく成績であり集学的治療の一つになりうる方法と考える