医療
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腸骨・大腿動脈領域の閉塞性動脈硬化症の手術を先行させた左主幹部病変を含む3枝病変を有する症例の検討
市来 嘉伸後藤 哲哉下山 嘉章
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2000 年 54 巻 8 号 p. 343-346

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抄録

今回, 我々は左冠動脈主幹部を含む3枝病変に腸骨・大腿動脈領域の閉塞性動脈硬化症を合併した症例に対し, 二期的に手術を行い良好な結果を得たので報告する. 症例は, 73歳男性. 心臓カテーテル検査で, 冠動脈文節1番完全閉塞, 5番75%狭窄, 6番90%狭窄, 12番90%狭窄を認め, 腹部大動脈以下の造影にて, 左総腸骨動脈の完全閉塞, 右総腸骨動脈にも狭窄および強度の屈曲を認めた. まずY字グラフト(Y型人工血管)置換術を施行, 中枢側は下腸間膜動脈以下の腹部大動脈に, 末梢側は右総腸骨動脈と左大腿動脈に吻合した. 右側末梢側吻合後, 心機能の低下を認め保存的療法に反応せず, 左大腿動脈との吻合部の中枢側グラフトより側枝を設けて大動脈内バルーンパンピング(以下IABPと略す)を挿入した. 翌日冠動脈バイパス術(以下CABGと略す)(左前下行枝への大伏在静脈グラフト吻合)を施行した. 術直後に循環動態安定していたためIABPも離脱し, 経過良好にて術後約1カ月で退院した

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