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咬筋に発症した限局性筋炎(Focal myositis)の1症例と文献的考察
西海 正彦福武 公雄大鶴 洋広瀬 茂道
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2000 年 54 巻 8 号 p. 353-360

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抄録

21歳, 男性. 平成10年12月ごろより左側頬部腫脹が進行したため, 平成11年2月19日当病院口腔外科外来を受診. 血清アミラーゼおよびクレチンキナーゼ値の上昇は認めなかった. 頭部CTでは左側咬筋部のび慢性の拡大像を認めた. 頭部MRI所見から咬筋肥大症は否定され, 頻度から腫瘍が疑われたが, 筋炎の所見とも一致したため, 咬筋の筋電図と筋生検を施行したところ, いずれからも筋炎に一致する所見が得られ, 左側咬筋の限局性筋炎(focal myositis)の診断が確定した. 平成11年6月24日からプレドニゾロン20mg/日で治療を開始したところ, 8月には症状は消失した. 実地臨床上歯性感染症以外で片側性頬部腫大を認める症例は少なく, 中でも咬筋の限局性筋炎の報告は世界で2例目, 本邦では第1例目であるのでここに報告する. 限局性筋炎は多発性筋炎の初期像との説もあるが, 多発性筋炎への移行は発症から13ヵ月を経過した現在認めていない

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