抄録
パーキンソン病は振戦, 無動, 固縮姿勢反射障害を主徴とする神経変性疾患で, 本邦の患者数は約12万人と推定されている. 主病巣である中脳の黒質などの神経細胞にはレビー小体が観察されるが, このレビー小体が大脳皮質などにも広く分布し, 痴呆症状などを呈する疾患は「びまん性レビー小体病」として知られている. 本邦の当疾患患者数は少なくとも約20万人と見積もられ, その多くはアルツハイマー病の病理変化をともなうが, これをともなわずレビー小体のみがびまん性に分布するいわゆる「純粋型」は少なくとも約2万人と推定される. 「純粋型」びまん性レビー小体病とパーキンソン病のあいだには連続性, 共通性があり, それぞれ別の疾患と考えるよりも, むしろ多因子性神経性疾患であるパーキンソン病のなかに何らかの原因が加わって病変が広がり易い一つの亜型があると考える方が考えやすい.