日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
左肺上葉管状切除後に施行した左残存肺全摘術の2例
鹿島 祥隆藤野 昇三大塩 麻友美北野 晴久藤田 琢也藤田 美奈子澤井 聡尾崎 良智手塚 則明
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2007 年 21 巻 6 号 p. 788-792

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抄録
当科で左肺上葉管状切除後に左残存肺全摘術を必要とした2例を経験した.症例1は68歳男性.肺小細胞癌に対して化学療法と放射線治療後,左肺上葉管状切除術を施行.初回手術後,21ヵ月目に第二癌(扁平上皮癌)を確認.遠隔転移を認めなかったので左肺残存全摘術を施行した.再手術後,6年8ヵ月無再発生存中である.症例2は70歳男性.初回手術後,24ヵ月で吻合部再発を確認.再手術では,正中アプローチにより残存肺全摘術可能と判断.肺動脈処理後,体位変換を行い後側方アプローチで手術を完遂させた.再手術後,20ヵ月目に原病死.再手術施行時,2症例とも通常の左肺上葉切除後と比較してより高度な頭側への肺動脈の屈曲・変位を認めた.血管損傷回避のため心嚢内で血管処理を行った.症例2のように肺門部に病変が及んでいる可能性のある症例に対しては,正中アプローチにより比較的容易に肺動脈を処理でき,有用な方法と思われた.
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