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Hackethal集束釘固定術改良法を用いた上腕骨近位端骨折の治療成績
笠原 尊生今給黎 篤弘石井 嗣夫上野 竜一曽我 真村添 與則
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2001 年 55 巻 6 号 p. 271-276

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抄録
我々は本来上腕骨骨幹部骨折の手術法であるHackethal集束釘固定術の手術侵襲の少なさに着目し, 種々の改良を加えることで上腕骨近位端骨折に応用し, その臨床成績を報告してきた. 今回は, 過去12年間にH改良法にて治療した上腕骨近位端骨折症例についてその成績を骨折型別に分類し, 保存的治療法の成績と比較することでその適応と成績を検討した. 平均骨癒合期間は2part骨折で保存例は2.9ヵ月, H法が2.8ヵ月であった. 3part骨折では保存例が3.3ヵ月, H改良法が3.3ヵ月と各治療法に差がなかった. JOA scoreは2part骨折で保存例が平均95点, H改良法が平均91点, 3part骨折は保存例平均85点, H改良法平均95点と, 3partではH改良法が良好な成績であった. 肩関節可動域回復期間は保存例で平均3.7ヵ月, H改良法は平均2.9ヵ月を要しH改良法が優れていた. 以上により, H改良法は良好な手術成績を修めており, 2part, 3part骨折の優れた手術法であると思われる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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